クラシック コンピューター

僕はクラシックカメラが好きだ。もっとも、僕の持っているカメラはクラシックというほど古くは無いし、歴史的な価値もないのが現状なんだけど、今の世の中はフィルムで撮るというだけでクラシックだ。まだ新品で買えるNikon F6やCanon EOS 1Vもクラシックカメラなんだろう。つまりFUJIFILMのGF670も、この前まで現行で売っていたCosinaのBESSAもクラシックカメラと呼べるだろう。

そんなワケでクラシックな魅力にはたっぷり浸っているんだけど、最近魅力を感じなくなってきたのがデジタルモノ。最近は毎日のようにアップデート地獄に襲われてウンザリしている。パソコンやスマートフォンはまるでアップデートと充電の為にあるみたいだ。そのアップデートは本当にユーザーの為のモノなのだろうか?アップデートしたことによりガラリとUIが変わってしまい混乱する事も多い。アップデート時間がかかり、作業が止まってしまう事も多くストレスが溜まる。デジタルモノは得意分野だったはずなのだが、最近は魅力を感じられなくなってしまって寂しい限りだ。

で、ふと、思ったのですが、クラシックなモノの魅力はちょっとだけ不便なトコロにあるのではないか?不便は実は楽しいのではないか?クラシックカメラも現代のデジタルより大分不便を強いられることが多い。デジタルカメラは合理的すぎて非合理的な側面が浮上してきている部分もあるけど、ここでは触れない。デジタルカメラならシャッターを押して終了なのに、クラシックカメラはシャッターを押すまでも押した後も色々手間がかかる。その手間が楽しいのだ。

実はコンピュータもカメラと同じように、少しクラシックで手間がかかるモノを創意工夫して使うのは愉しいのではないだろうか?趣味のコンピュータは、少し不便なクラシックの世界を味わうのが最先端なのではないか?

動かなくなってオブジェと化してしまったコンピュータは楽しみ方が変わってしまうので、キチンと使える必要がある。遅いとかバッテリー稼働時間が短いとか色々問題があるだろうが、余計にかかる手間というのは、クラシックを冠するモノにとってはお楽しみ要素だ。甘んじて受け入れ、出来ることはそれでやる。幸いウチにはカッチリとメンテナンスしたThinkPadがある。X40といって最後のIBM ThinkPadのひとつだ。ここでは詳しく書かないが結構手間暇かけてメンテナンスをしている。

OSにはWindows XP SP3が入っていてAdobeのCS4やOffice 2003が使える。商用利用するにはライセンス的な問題もあるが、それなりの有料フォントなんかも入っていて、作業的にはかなりの事が出来る。ハードウェア的にはPentium M 1.5GHz、メモリ 1.5GB。1.8inch IDE SSD 120GBという珍しいモノもいれてあるが、それなりにちゃんと遅い。クラシックと呼ぶに相応しい余計な手間は十分に味わえる。バッテリーも新し目の互換品をいれてあるし、SSD化が効いているので電源が無くとも実稼働2時間程度は動く。

ソフトウェア的なサポートが全て切れているので、アップデートなんかが一切かからないのは逆に安心して使える。アップデート地獄から解放されているのだ。突然UIが変わる事もないしゲリラ的アップデートと言うテロもない。追加で新しいソフトを入れる事もないのでとても安定している。

職場ではWindows 10 Pro 64bitとAdobe CC、Office 2016をCore i7、メモリ8GB環境で動かしているが、HDDマシンということもあり実はさほど快適でもない。バックグラウンドで謎の更新作業が行われていると恐ろしく動作が重かったりする。もちろんThinkPad X40の方が快適だとは言わないが、14年前スペックの進化の差は驚くほど感じられない。

これからはコンピューターの世界もクラシックを愉しむべきだ。X40のPentium Mはいささか行き過ぎ感があるが、Core2 Duoくらいあればなんの不自由もないのではないだろうか。ThinkPadでいうとX60くらいから、Macならユニボディを採用したMacBookあたりからだろうか。OSはWindowsならXP、MacならSnowLeopardくらいからが良い塩梅だろう。ちなみにWindows XPのシェアは2017年10月時点で増えているらしい。世界的なOSのシェアでいうとXPは3位。もうコンピューターの世界でも進化は望まれていないのだろう。これからはコアなユーザーはコンピューターもクラシックの世界を愉しむのが最先端だと思う。