僕はね、スマホサイトってヤツが大嫌いなんですよ。レスポンシブ対応サイトなんかも同罪。スマホサイトとは世の中で最も愚かなモノの1つに数えられるほど罪深きモノだと思っています。少なくとも、僕はそう思っています。何故って?ピンとこない人も沢山いると思いますので、順を追ってお話していきましょう。
黎明期のスマートフォン
21世紀の幕開けを迎え間もない頃、スマートフォンは僕らの夢の結晶でした。当時はi-modeに代表される、後にガラパゴス携帯と呼ばれる端末が台頭しており、スマートフォンは一部のマニア層が使うものでした。NokiaのSymbian S60端末や、WILLCOM&SHARPのW-ZERO3シリーズなんかがその名で呼ばれていました。僕らがスマートフォンの何に惹きつけられていたか?その魅力の代表格の1つに『フルブラウザ』の存在があります。僕らはメーカーとキャリアに都合の良い情報しかないガラケーサイトなんてwebではないと思っていましたし、未来も可能性もまったく感じていませんでした。僕らは切に望んでいたものは『フルブラウザ』だったのです。
フルブラウザ
フルブラウザとはPC向けサイトをそのまま表示する事ができるブラウザの事をそう呼んでいました。フルブラウザが搭載された端末を常にポケットに忍ばせておけるということは、いつでもどこでもweb上に転がっている情報を好きなだけ引き出せるということ。それは何時いかなる場所にいても、どんな疑問にも完璧な答えを見出すことが出来る、まさにパーフェクト超人になれるということでした。僕らは精度の高いフルブラウザを望み、より高機能なスマートフォンを求めていったのです。そう!フルブラウザこそスマートフォンの存在意義その物といっても過言はなかったのです。
iPhone 3Gの登場
2007年07月11日は忘れられない日になりました。世界が変わった日、僕らの待ち望んだ夢が叶った日です。そう、iPhone 3Gが発売になった日です。iPhone 3Gは今までとは比較にならない再現力をもったフルブラウザを搭載していました。いや、iPhone 3Gの登場を以って『フルブラウザ』という言葉自体が死語となってしまったのだと思います。iPhone 3Gに搭載されていたモノはもうPCとなんら変わりない『ブラウザ』でした。僕らはついにwebという無限のナレッジをポケットに入れて持ち歩く事ができるようになったのです!そしてiPhoneはスマートフォンの代名詞となり、ハードウェアキーなしの全画面液晶というスタイルがスマートフォンのデファクトスタンダードになったのです。そしてこの日をもって、今までの電話機は『ガラパゴス携帯』と呼ばれ絶滅への道を辿る運命を強いられる事となりました。
そして『スマートフォン』が『スマホ』になりました
iPhoneシリーズは僕らの夢を叶えただけではなく、その後飛ぶ鳥を落とす勢いで勢力を拡大し、従来の携帯電話を絶滅寸前に追い込み、Androidという第二勢力を生み出しました。その後もスマートフォンは普及し続け、誰もが持つモノになりました。そしてスマートフォンが『スマホ』と呼ばれるようになったあたりで、僕は目を疑りました。オーマイガッ!スマートフォン向けに最適化したサイトが作られ始めてしまった!僕らが望んだのはこんな未来じゃない!僕らは切に望んだのはPC向けサイトがそのまま使える『フルブラウザ』なのに!端末がフルブラウザとしてのチカラを持っていながら、世相はそのチカラを発揮させるステージを奪ってしまったのです。『スマートフォン』が『スマホ』になった時、僕らの夢見たスマートフォンは死んだのです。
時代は繰り返します
ガラケーが絶滅危惧種になったことで、ガラケーサイトは死にました。時代は繰り返しますので、スマホも間違いなくいつかは滅ぶ運命にあります。しかし、スマホサイトはそれよりも遥かに早く滅ぶ気がしてなりません。スマホは進化しつづけています。大画面化、高解像度化が進めば、現在のスマホサイトは情報量として物足りないモノになるでしょう。いや、ひょっとするとwebという概念が先に死んでしまうのかも知れませんね?その前に某国の核施設とかが爆発して人類が滅ぶか、太陽が膨張してイスカンダルにいかなくてはならなくなるのか。きっと神さまは僕らの予想を超えた未来を用意していることでしょう。
…閑話休題
僕はスマホサイトとは世の中で最も愚かなモノの1つに数えられるほど罪深きモノだと思っています。