PEN-EEはハーフサイズというカメラで、フィルム1コマの半分で1枚撮影する。36枚撮りを入れると72枚、24枚撮りでも48枚も撮れる。素晴らしい事でもあるが最後まで撮りきるのがなかなか難しい。
このカメラはフルオートだが電池がいらない。正確にはセレン光電池というやつを使っており。カメラの外見的な特徴にもなっているレンズの周りに昆虫の複眼みたいなのそれで、撮影光を電力に変えて露出計を動かしている。測光結果を基に露出をカメラが決める。つまり露出の決定に撮影者が介入する隙は無いわけではないがとても少ないのです。
その為に殆どトイカメラのような撮影スタイルになり、使用者の撮影に対する積極性は弱まります。その結果72枚撮りきるのが難しくなる。するとどうなるか?未現像フィルムを入れたまま放置しがちになる。そしてカメラは裏蓋に窓が無いので、そもそもフィルムが入っているのか入っていないかがわからなくなるのですよ。撮影しようと思ってもフィルムが入っていない可能性がある。撮れていない可能性をはらんだままファインダーを覗いて構図を決めて、シャッターを切り続けるのは辛い作業になってしまいます。趣味でやってんのに作業に明け暮れるのはナンセンスです。その場で巻き上げてみるのが良いのかもしれないですが、その行為は沢山撮れるハーフサイズの最大のメリットを捨ててしまうようでとても心苦しく…。
そんなワケで、巻き上げれレバーを軽く回してみて手応えがあるか否かと、記憶の糸を頼りにフィルムが入っているのかいないのかを予想して軽く2〜3ショット撮ってみる、なんて事を数ヶ月に一回繰り返すような事を数年単位の長いスパンで繰り返していたりして。
すると、不思議とこのカメラの魅力がぐっと出てくる。庭に埋めたタイムカプセルみたいな感じになるのですよ。現像してみると、現在は幼稚園に通っている我が子が四足で床を這い回っていたような頃の画が出てきたりする。どこかに出かけた際などの特別な画ではなく、普段撮らないような何気ない日常が記憶されている事が多く。フィルムの劣化も偶然というエッセンスの追加になり、味わいに感じられ。
まさにタイムカプセルです。不便なのですが、何だか素敵なヤツですよ。スペック的なモノは持ってないけど趣味のカメラに求められているモノはキチンと備えています。最新型のデジカメたちも見習って欲しいなぁ。