新宿中央公園の亀

新宿中央公園の池に亀がいる。甲羅の大きさが2〜30cmはある大きな亀が12〜3匹は暮らしている。この池に亀がいることを知ったのはもう何年も前なので、ずっと長く暮らしているのだろう。正確には、ここは池ではなく噴水のための水たまりだ。この亀たちはもともとここにいた訳ではなく、おそらくニンゲンが捨てていったのだろう。

2月だと水もかなり冷たい。亀たちは水の中でしっかりと目を閉じてピクリとも動かない。首や手足を甲羅からダラリと出したまま、まるでゼンマイの切れた玩具のように動かない。

確か亀は肺呼吸だったと思った。水の中で寝ていて大丈夫なのだろうか?そもそもこの亀たちは自力で池から出ることが出来ないようだ。池の壁は垂直に切り立てられた石で囲われていて、とても亀がよじ登れるような高さではない。

自力で池からは出られず、水温が下がると体温が下がって動けなくなり、そのまま冬眠状態になってしまうのだろう。生命力が強いので死ぬこともできず、ただじっと目を閉じ息を殺し、水温があがる春の訪れを待っていのだろう。水温が上がったとしても十分な食料があるとは思えない。土の上に移動できなければ産卵不可能であろう。この池は亀のための生態系として決して十分な環境とは思えない。

亀は幸せなのだろうか?助けてやることは出来ないのだろうか?そもそも亀は助けてほしいと思っているのだろうか?池の周りを散歩するニンゲンたちを見て何を思っているのだろうか?

でも考えてみれば、亀だけじゃなくて僕らニンゲンも同じような境遇なんじゃないか?