僕がRICOH GR IIIを買わなかった理由

GR IIIは正直、かなり危なかった。ヨドバシ.comの後で買うリストには常に入っていたし、暇を見つけては実店舗にも通い詰めてデモ機を触っていた。じゃんぱら、ソフマップの中古在庫もチェックしていた。僕は今年の夏ボーナスでGR IIIを買う気でいた。

だがヤメた。GR IIIは買わない。2つのウィークポイントを見つけてしまい、もう完全に気持ちが萎えた。その2つは100年の恋をも冷めさせるに十分なモノであった。写りがどうとか、そう言った類のポイントではなく、非常に下らない偏屈な価値観から発見した点だが、一回気になり出したらもうダメだ。GR IIIの性能やコンセプトがどんなに誉高い内容だとしても、もう金は払えない。

その壱:振るとコトコトと振動を感じる

コレは致命的だ。プラモデルでもPCでも振ってカラカラと音がしたらどう感じるか?どんなに優れたプロダクトでも、振って異音がする=内部の何らかのパーツが外れて不具合を起こそうとしている、いわば故障予備軍に成り下がった事を意味する。分解して異音の正体を突き止めねば安心して夜も眠れない。降って音がするプロダクトは不良品なのだ。

で、GR IIIを振るとコトコト音がするんだ。正確には音が聞こえる訳ではないが、何らかのパーツがキチンと固定されずにコトコトと動いている感覚がハッキリと伝わってくる。普通に『コレ、大丈夫か?』と不安な気持ちを掻き立てるに十分なレベルだ。

おそらくセンサーユニットが丸ごと動いている感覚と予想している。GR IIIにはセンサーシフト式の3軸手ぶれ補正が入っている。電源が切れると手ぶれ補正のテンションが抜けて、降った際にセンサーが重力と慣性の法則のままにコトコト動く、ってワケだろう。その感じができの悪い壊れかけのオモチャそのモノなのだ。デカいカメラなら気にならないだろう。しかしGR IIIは手首のスナップでシェイクできるほどの小型軽量デバイスだ。

…ハッキリ言おう。興醒めである。こんなウィークポイントが発生するなら手ぶれ補正なと不要だった。GR IIIの黒くて小さくてギュッと詰まったカタマリ感が…、あのコトコト感で全て台無しになっていく。

僕の手元にあるGR DIGITAL IVは降ってもコトコト言わない。黒くて小さくて、ギュッと詰まったカタマリ感を、キチンと持っている。GR IIIは性能的には正常進化したかもしれないが、モノとして残念ながら退化してしまったのだ。非常に残念だ。

其の弍:前玉周りの処理が雑

電源を入れるとレンズバリアが開いて沈胴式のレンズが繰り出してくる。そこまではいい。問題はその後だ。開いたレンズバリアから鏡胴を覗いた際の不完全感。鏡胴と前玉の間に存在する不自然な空間とレンズユニットがそのまま顔を覗かせている違和感。まるで無防備な交換レンズの後玉を覗いているような感覚。

この設計、安いコンパクトカメラならまだいいが、これは10万を超えるGRだ。前玉周りの処理にはもっと気を使うべきだと思う。少なくとも僕はすっかり購買意欲を無くしてしまった。

ってことでGR IIIは見送り。次のGR IVに期待を込めて、10年選手のGR DIGITAL IVをもうしばらく使うことにする。